こうした人間関係を形成する力は、営業にとってすごく大事です。
つまりそれは、信頼できるかどうか、ということ。コミュニケーションの場においては、小手先のテクニックでは「何か私を違うところに連れて行こうとしているな」と身構えられてしまいますが、信頼できる人というのは、テクニックを超えたものを持っています。
それは誠実さであり、もっと言えば生き方に根ざしたもの。ちゃんと約束やルールを守り、フェアプレイをしているかどうか、自分の価値観を大切にしているかどうか、会社の経営理念を本当に自分のこととして引き受け、それに責任をとっているかどうか。そうした言行一致の生き方をしていると、信頼の香りというものが沸き立つ。「当てになる人だ」と思われる存在になる。そういう人間性が先にあって、はじめてスキルが生きるわけです。
その上で、ビジネスマンとしての意図や戦略を、インタビューを通して展開する。顧客から現実を引き出す、めざす目標まで引き出した。ところで課題は見えてきたけれども、どの程度の熱意と実行計画があるのだろう? それら全体像をつかんで、はじめて援助者として持っている魅力的かつ効果的な資源を顧客に対して提示し、提供できるのです。
「今日、あなたと話したら課題がすごく明確になったよ。ありがとう」と言ってもらえるほどの信頼関係が生まれる。これは素敵なことではないでしょうか。
(この文章は、日本を代表するIT企業の広報誌のインタビューを受けて話した内容記録です。)
コーチング,コンサルティング&トレーニング
コォ・クリエイト・ジャパン Inc.
シニアトレーナー 田近秀敏