かつて私たちのセミナーを受講していただいた、人生の大先輩と久しぶりに会って会話が弾みました。
私 「お久しぶりです。 お元気でしたか」
先輩 「おかげさまで僕は元気です。 ところで書評の形をとってはいるけど個人攻撃に近い文章がネットに出ていましたよ」
私 「へえ、とんでもないですね。 大丈夫でした?」
先輩 「人ごとじゃないよ。 あなたのことですよ」
私 「えっ、本当ですか? どんな内容でしたか」
先輩 「読んでいると気分が悪くなるような内容だけど、『亜流の人物がまたまた登場して・・・監修などする必要などない。 ・・・原文で読んだ方が理解できた』みたいな内容の監修者批判を含めた長い文章でしたよ(笑)」
実際の文章を見たあとで・・・
私 「はあ、ショックだなあ。 子供たちには見せられないわ。 確かに原文をすらすらと読める人は原文で読むほうが良いかもしれないですが・・。 内容よりも、こういう文章をわざわざ書く人がいるということにショックを受けますよ」
先輩 「ネット社会の怖さを感じるね。 言論の自由にもルールやモラルは必要だよね」
私 「匿名の人物に敵視されている感じがして怖いですね。 先生からみて、この人はどういう人物だと想像しますか」
先輩 「内容はともかくとして、知的な文章を書く男性ですよね」
私 「いきなりほめますね。 男性だと思いましたか」
先輩 「うん、昭和28年から37年くらいの生まれかな。 書き言葉の特徴から政治学とか文学を学んだ人かもね。 しかも実際にはあなたとは面識がないね。 翻訳の仕方にコメントを入れるくらいだから、英語はかなりのレベルで、たぶん翻訳書も出しているんじゃないか。 おそらくこの分野ではあなたの同業者だろうな。 これはネガティブ・キャンペーンを仕掛けている感じだからなあ(笑)・・・あなたも大変だね」
私 「先生、名探偵シャーロック・ホームズみたいですね(笑)。 この人、セミナーをしている人ですか。 そうかなあ」
先輩 「うん、教えているような人かどうかは微妙だね。 うまいけどエコロジカルとは言えない言葉を選んでいるからなあ。 『カウンセラー自らを癒すべし』というから、セミナーのトレーナーも自分が教えている内容については、トレーナー自身の心理的課題をクリアしているのが理想ではあるなあ」
私 「はい、肝に銘じておきます(笑)。 ちょっと気になるのは、この人の攻撃性ですね」
先輩 「そうなんだよ。 攻撃性は抑うつ状態のひとつの特徴でね、神経が『戦闘モード』になっている印象だよね。 本人も気づいていないかもしれないけれど過去の未完了の痛みや自責のパターンがある感じだな。 過剰な競争心も結局は自分を痛めつけるしね」
私 「それは先生の専門分野ですね。 そういえば文章の奥には別のテーマが隠されているのがわかりますよね」
先輩 「そうでしょう! 職業柄か、それが僕には面白いんだ(笑)。 『俺はこんなにも優秀なんだぞ! 俺こそが一流だぞ! みんな、わかってくれー!』みたいな叫びが隠されている感じでしょう。 ある意味、とても有能で知的な人物だけに、そういう自分をさらけ出せずに人前では『特別で有能な人物』というイメージを守り通すのはしんどいんじゃないかな」
私 「でも自分の能力の高さに自負心を持っているというのは、ある意味、たいしたものですね。 私は頭の良さで勝負しようなんて思いませんものね。 妻によく言われますよ。 『あんたみたいに何も考えずに生きてみたい。 ホントお気楽でいいわよね』って。 彼女は妻というより稲妻みたいに衝撃的なことを言いますからね」
先輩 「そのおかげであなたはすぐに立ち直る『復元力』を身につけたでしょう(笑)。 それも奥さんの愛だよね」
私 「なるほど、ものは言いようだ(笑)。 ところで先生だったらこういうタイプの人物にどんなメッセージを伝えたいですか」
先輩 「まあ、メッセージというのは相手を充分に理解してからだけどね。 ・・・『君を攻撃する人は誰もいないよ。 誰も敵じゃないのだから、戦う必要はない。 何も証明しなくても良いんだ。 安心しなさい』とでも伝えるかな。 ・・・いや、本人に会ってみたくなったなあ」
私 「会ってみたい? うーん、さすがですね。 私は遠慮しておきます(笑)。 それにしても先生の推理は面白い。 ちょっとした事実から真実を探っていく作業には、シャーロック・ホームズみたいなセンスの良さを感じますよ」
先輩 「僕の推理が当たっているかどうかは永遠の謎だ(笑)。 でもホームズはなつかしい。 小学生の頃、よく読んだなあ」
私 「そうでしたか。 ホームズみたいな天才がどのように偉業を成し遂げるのかを解明した本があるんですよ。 天才たちをモデリングした内容です。 『ロバート・ディルツ博士の天才達のNLP戦略』という長いタイトルですが」
先輩 「ほお、知らなかった。 読んでみようかな」
私 「ええ、ぜひ。 でも先生、ひとつ問題があるんですよ。 実はその本、ある亜流の人物が必要もないのにまたまた登場して監修者になっているんです(笑)」
先輩 「(爆笑)・・それはいい!座布団1枚だ(笑)」
私 「おそれいります(笑)」
先輩 「何かとストレスもあるだろうけど、こういうときには、ある国から悪魔呼ばわりされているダライ・ラマをモデルにしてみたら? モデリングは得意なんでしょう?」
私 「わあ、いいテーマですね。 実はダライ・ラマを尊敬しているんですよ。 以前に実際にお話を伺う機会があったのですが、チベット仏教の頂点にいる人物なのに亡命せざるを得ない状況にありながら、それを感じさせないくらいに自然でオープンで、誰であろうと歓迎する姿に感動しましたよ。 まあ、ちょっとレベルが高すぎるモデルではありますが、彼のように内側に平和を抱いて生きていきたいですね」
先輩 「あなたから以前に教えてもらった言葉で、宇野千代さんの色紙の言葉が印象に残っているんですが・・・」
私 「『私は幸せです。 昔も、今も、これからも』・・・これはすごい心境ですね。 何があっても幸せな内的状態を選択するという決断を示しているわけですから」
先輩 「うん、こういう人は自由だと感じるなあ。 自分の隠された痛みを他の人に投影しなくてよいくらいに自分を充分に解放していれば、人間関係は豊かになるんだけどね」
私 「先生とは仕事分野は異なりますが、お互いに人が自由になっていくことや可能性を開いていくことに今のベストを尽くして貢献していきたいものですね」
私たちは否定的なエネルギーや人物に出会うとそれに意識が囚われてしまいがちです。 しかし知覚をシャッフルする刺激的な会話(それが雑談であったとしても)によって、内的な状態をシフトさせることができます。 様々な方向から、つまり上下、左右、内と外、過去と現在と未来、ユーモア、自分と相手と観察者の立場の違い、尊敬している人物や神様のような存在などの視点から出来事を捉えてみましょう。 そして、「幸せな状態」を選びましょう。