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コーチングコラム

コーチング − 管理職のための視点

第5回 : あなたの部下はアドバイスをほしがっていますか?

今回はアドバイスに関して、コーチングの視点から述べてみたいと思います。アドバイスをしない上司はいないでしょう。実際、多くの管理職は頻繁にアドバイスを与えていますし、アドバイスこそが管理職としての能力を示す機会だと思っている人々もいます。

上司からアドバイスされたときに、そのアドバイスされた内容を部下が否定するには勇気が必要ではないでしょうか。気が弱い部下の場合は特にそうです。そのまま、「はい、分かりました。やってみます」と応えがちです。ということは、アドバイスとは指示命令と実質的には変わりないことになります。
アドバイスとは忠告、助言、勧告です。そして本来、アドバイスとはアドバイスする人の経験に基づく「意見」なのです。ですから、アドバイスした人にとっては実行可能ですし、有効に思える内容なのです。でもアドバイスを受けた部下にとっては、その内容が実行可能で有効とは限りません。そもそもアドバイスをほしがっているかどうかも問題です。アドバイスがほしい部下は「アドバイスがほしいのですが」とか「ちょっと課長の考えを聞かせていただきたいのですが」などというものです。
部下が受け取る準備のないときに与えるアドバイスは、「余計なお世話」になりがちです。アドバイスは相手が求めているときに与えるということが基本です。

コーチングでは、アドバイスを3つのステップで与えると効果的です。

まずアドバイスというボールを投げたいのだけれど受け取ってくれるかどうかを確認します。具体的には「アドバイスしても良いかな?」「私の提案を聞いてみてくれるかな?」というような表現が適切でしょう。

そして部下が「はい、お願いします。」と応答したら次のステップです。ボール、つまりアドバイス内容そのものを投げます。このときに部下が理解しやすいように簡潔に、あるいはイメージしやすいように具体的事例を上げるなどの工夫をすると良いでしょう。
部下は「はい、お願いします。」と言った以上、受け取ろうとします。そしてボールは部下のグローブの中に入ります。

そこで3つめのステップです。そのボールを部下自身に加工してもらいます。「これは私の3年前の体験をもとにしたアイデアなんだ。何かヒントになるかな?」「君だったら、どんなふうに応用できるかな?」

この問いかけによって部下は上司のアドバイスをキッカケにして自分のアイデアを出してきます。このことのメリットは、部下自身の選択肢が増えるということです。上司の指示命令的アドバイスではなく、自分自身が考えたアイデアが選択肢のひとつに加わるのです。
すると、他の選択肢と同列に扱うことが出来ます。どの選択肢がベストであるのか、どのアイデアならば実行責任を取れるのかを考えさせることによって、「自分が選んだやり方、考え方である」という主体性と責任者意識が引き出されることにつながるのです。

第6回 : あなたは部下の自己評価に耳を傾けていますか?

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