最終回は前回に引き続き、「目標管理制度を健全に機能させるためには何が必要か?」に焦点を当てていきたいと思います。
MBO(目標管理制度)とは、「目標と自己統制によるマネジメント」だと言いました。
つまり自分でつくった目標を、自分で動いて達成する人を育成しなければ、MBOは機能しないのです。
それを可能にするコミュニケーション・スキルとしてのコーチングの全体像を掴んでいただきたいと思います。そこで今回は5つのビジネス・コーチング・ストラテジーをご紹介します。
1つめのストラテジーは、「パートナーシップを築く」ことです。
部下があなたと働きたくなるように信頼と理解を深めることが重要です。具体的には、このようなことをすると良いでしょう。
2つめのストラテジーは、「コミットメントを呼び起こす」ことです。
大切な目標にエネルギーを集中させるように部下の意欲を高めることです。具体的な方法としては、このようなことが有効でしょう。
3つめのストラテジーは、「スキルを向上させる」ことです。
ステークホルダー(利害関係者)が期待する成果を確実に作り出すためにコンピテンシーに基づいてスキルを向上させることが大切です。具体的には、このようなことを実践してください。
なお、ストレッチとは背伸びしてギリギリ届くような範囲への挑戦のことです。
4つめのストラテジーは、「励まして継続させる」ことです。
習慣は第二の天性といいます。習慣になるまで根気よく訓練を続けて、学習したことを確実に仕事で活用することが大切です。
そのためには、このようなことを実行していくと良いでしょう。
5つめのストラテジーは、「環境づくりをする」ことです。
組織的なサポートをつくり、学習に報い、障害を取り除くことが大切です。コーチングを大切にし、それが評価される環境がないと、マネジャークラスの人たちは自分たちの業績のみに目が向き、長期的な人材育成を後回しにしてしまいがちです。具体的には、
「人材育成のコツを一言で言うと何ですか?」と少々乱暴な質問を受けたことがあります。私はこのように答えました。「実行責任を取らせることです。」
実行責任を取らせるためには、何をやり遂げるのかという部下の意志に耳を傾ける必要があります。言ったらやる、ということです。
上司は全体の方向を指し示しながらも、部下自身の自発的なコミットメントを呼び起こします。何に責任をとるのかを部下自身が決めるのです。
コーチングはリーダーシップの機能の1つです。優れたリーダーは、自ら言行一致を生き、他の人々を援助することを通して、リーダーを生み出すのです。
さて、「21世紀の人材育成への視点」ですが、ここで終了です。皆様のご成功をお祈りしています。
コーチング,コンサルティング&トレーニング
コォ・クリエイト・ジャパン Inc.
シニアトレーナー 田近秀敏